2015年5月31日日曜日

僕たちはお客さんをLINEとスタバと取り合っているんだよー、という話。






この間、山梨の吹奏楽系の指導者の方と話していて
「最近の中高生は演奏会に行かなくなった気がする」
みたいな話題が出ました。

10年ぐらい前まではけっこう頻繁に
「先生!今度出演されるコンサートのチケットください!」とか
「このあいだ東京に◯◯◯を聞きにいってきました!」とかいう生徒いたのに
最近そういうのが減ってきていると。

指導者としては、いろんな人の演奏や、いろんな曲を聴いていく中で
知識や聴体験を増やして、自分の演奏の糧にしてほしいという思いがあると思います。
今の子は10年前の子たちに比べて、興味や情熱がないのじゃないかな、と思われるかもしれません。


でもね、それ、きっと全然違うんですよね。
10年前に比べて、興味や情熱がなくなっているわけではないと思うのです。


ただ単に、
生徒の可処分所得と可処分時間が別の対象に使われるようになっただけなのです。


多くの中高生にとって、可処分所得=お小遣い or バイト代でしょう。
今の時代、なかには自分でビジネスをしている学生もいるでしょうが。
まあメインはお小遣いと考えましょう。

するとこのお小遣いをどのように使っているかというと、
たぶん

  • LINEスタンプ
  • 放課後のスタバ

に使っていると思うんですよね。
上の二つは今の時代の中高生に象徴的な例なので、
もちろんそのほかにもマックとかサイゼリアとかサーティーワンとか、
歌ってみた・踊ってみた用の機材とかコスプレ用の材料とか、いろいろあるでしょうけど。
でもパワフルなのがこの二つです。LINEスタンプとスタバ。

LINEがリリースされたのは2011年6月。
それまで中高生はミクシィとかTwitterとかでコミュニケーションとってたわけです。
同級生たちと無料でコミュニケーションとってたわけですね。
そこにLINEが来た。スタンプというコミュニケーション方法が登場した。
今や猫も杓子もLINEスタンプです。そしておそらく少なくない量のお小遣いが
有料スタンプに課金されているのです。


また、山梨にスタバができたのが2003年3月です。
それ以降甲府駅前の山交とか、アルプス通りとか、イオンやラザウォークに随時出店されるわけです。
こういうところで「スタバなう!」的に友達とワイワイ遊ぶのです。
スタバのドリンクって、僕からしてけっこう高いです。
そう毎日ひょいひょい買えません。今なら感じます。
でも正直言って大学時代、不自由じゃないくらいに仕送りもらっていて、
家賃や水道光熱費の心配もなくて、ほかの交際費もとくにかからない頃は、
かなりの頻度でスタバ通ってました。あの当時の5~600円のハードルは低かった。


で、お小遣いをLINEスタンプやスタバに使うから、演奏会に行くお金がないんです。



また、可処分時間はあらゆるSNSとスマホゲーム、ウェブサービスに割かれることになります。
Twitter、Instagram、Vine、MixChannel、パズドラ、ツムツム、ニコ動などなど。
友達の動向チェックしたり、写真加工したり、動画編集したり、歌ってみたりしてると、
あっという間に夜になるし、あっという間に1日は消化されます。

で、演奏会に行く時間がないんです。



上にあげたものたちは、どれも10年前にはなかったはずです。



自由になるお金と時間をなにに注ぐのかという中高生たちの選択が
この10年でガラッと変わってしまったのです。
演奏会に行くために取っておいてくれたお金や時間で
LINEやスタバやミクチャを楽しんでいるのです。


重要なのは、LINEやスタバやミクチャには、コミュニケーションがあるということ。
演奏会に行くだけならば、そこには学びしかありません。
あるいは友達と一緒に行けばコミュニケーションの媒体として演奏会も機能するかもしれません。
でも、家にいたってどこにいたって、LINEやミクチャならすぐに誰とでもコミュニケーションがとれます。
スタバに行けば、なんかおしゃれな気分と美味しいものと一緒にコミュニケーションがとれます。



この状況のなかで、演奏会の会場にどうやって中高生を呼び込めばいいのか。
正直いまのところ僕にはアイディアがありません。
でも、コミュニケーションとSNSで自慢したときにクールかどうか、っていうのは重要なポイントだと思うのです。



いやー、LINEとスタバの破壊力ハンパないわ。

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