2014年4月14日月曜日

めちゃめちゃ上手い歌手が「オペラはお金にならないから」と言っている寂しさ、の話







この間、大学時代の同期と久しぶりに再開したのです。
その時こんな言葉を聞きました。

「オペラは出てもお金にならない。わけわかんないよね。」

あー、僕なんかより全然歌が上手くていい声で、演技のインスピレーションだってたくさんもってて、
きっとこの人はまっすぐ日本の声楽界の重要人物になっていくんだろうなと
僕は個人的に思っていたので、
そんな人の口からも「いまのオペラはこのままいったらダメになるよ」みたいな話を聞くとは
思ってもみなかったです。

「出演して、ノルマ課せられるのはおかしい。出演する側がお金払うなんて」

ですって。

全く以てその通り。




ノルマがあって、出演する側が制作にお金を払って出してもらうって、
三流芸能事務所や売れない下積みバンド相手のライブハウスで見られる構図ですよね。
芸能事務所やロック音楽には国の補助金って出てないと思いますけど(詳しくは調べていません)
少なくともオペラには新国立劇場やさまざまな補助金という形で国が関与していますよね。
ある面では国家として運営されている文化活動なわけです。

だけど別の面では、多くの自主公演が企画されていて、そのうちの少なくないものは
出演者にノルマを課したり会費を徴収したりしているわけで。なんかちぐはぐ。




オペラに携わっている偉い方々。
才能のある若者に「オペラはお金にならないから・・・」なんて失望を抱かせてあげないでください。

お金にならないのは制作コストが高く、かつお客様が少ないからですが、
収入源であるお客様を増やすためには、まず良質なプロダクトが必要です。
良質なプロダクトとはつまり、作品です。
そして、作品の質を左右するのは、演出家であり指揮者でありオーケストラであり、歌い手です。

このままでは本当にトップレベルの実力を持っている歌い手が、
日本のオペラ界から離れていってしまいますよ。
そうなったら最後、日本でのオペラは終焉に向かうだけです。


世は無常、それはそれで仕方ない、って気もしてますが
でも抗いたいという気持ちも強くあります。



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