2013年12月7日土曜日

「和食」とはやはり希有な文化なんだなと改めて考えさせられた、という話


今月の4日に「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産登録を受けたというニュースがありました。
世界的にも評価され、そして親しまれている日本の食文化が
保護対象に相応しいと認められたのではないかということで、
日本人としてなんとなく嬉しい気持ちがしますね。

食べることが好きな僕としても嬉しいですし、
その気持ちをもって、改めて和食とはなんだろうかと考えるきっかけになりました。



「和食」の範囲はどこまでなのか

和食とはなにかという議論のときに必ずあがるらしいのが、

「日本で独自に発達した洋食文化やラーメンは含まれないのか」

という問題だと聞いたことがあります。

僕たちが「和食」という言葉を聞いて連想するのは
美しい京懐石料理や鮨天ぷらを代表する江戸前料理、各地方の郷土料理と
一汁三菜を基本とする慣れ親しんだ家庭料理ではないでしょうか。

でも、オムライスやハヤシライス、はたまたラーメンや焼き餃子などは
世界を見渡しても日本でしかみられないみたいだし、
こういった「ハイブリッド料理」だって、日本の文化の生み出した立派な料理だ!と。

理屈としては納得しますが、感覚としてなんか違うなーと思います。
なぜそう思うのでしょうか。



「和食」の3本柱

「京懐石や郷土料理は胸を張って和食といえる、ラーメンはなんか違う
という感想の原因はなんなのか。
それは、僕なりに思う「和食」を構成する3要素に起因しているのではないかと考えました。
その3つの要素とは

  • 風土
  • ハレとケ
  • 季節

です。
あくまでも僕なりの解釈ですが。




「和食」とは風土を食べるということ

南北に長く、また細長い国土の中に多くの地形を持つこの国には
本当にさまざまな風土があります。
単純な暑さ寒さだけでなく、風の質感や雪の風合いといった
本当に些細な違いがこの国の隅々に数多息づいていて
土地それぞれの風土の中で、人々が生活をしてきました。
そして、その生活の中でまず自然と育まれたのが、和食なのではないでしょうか。

寒い地域の温かい料理にもかたちはさまざま、魚の食べ方も土地さまざま。
土地の気候が育む土地にあった食材を、食べやすいように手を加えて食べる。
この日々の生業の積み重ねこそ、和食の源流です。


「和食」とは祭りを食べるということ

日本は神話の国です。神話をもって国を治めた政(まつりごと)には
まさに1年を通してたくさんの節句があり、それぞれに相応しい祭りがあります。
そして、その行事に相応しい「ハレの食事」も発達してきました。

正月にはおせちを、桃の節句にはちらし寿司とはまぐりを、冬至には南瓜を。
その他地域それぞれの特色も織り交ぜて、時期時期にあわせたお膳を用意します。
普段ではなかなか口に入らない食べ物がたべられたり、
あるいは、季節の変わり目に崩しやすい体調をととのえるような食材が選ばれていたり、
先人が積み重ねてきた行事食の知恵は、知れば知るほど感心するばかりです。



「和食」とは季節を食べるということ

個人的には最も重要なポイントだと思っています。
「和食」とは旬の食材を美味しく美しく食べる心がけのことであり、
食膳にさえ自然の移り変わりを再現演出する文化をもっています。

季節にあった食材が用いられることはもちろん、特筆すべきなのは薬味・ツマ・ケンの存在で
春には木の芽、冬にはへぎ柚子。鮎に蓼酢、うなぎに山椒。
季節の食材に季節の薬味を添えることで、煮炊きされた食材に
爽やかで生き生きとした香りと彩りが加えられます。

さらに、本来はそういった薬味は、スーパーの小さなパックに入ったものでなく、
どれもこれも庭先や里山に自生していた植物の若葉や実なのです。
そのときに活き活きと生きている命を摘み取り、器に添える。
これこそ「和食」の最も重要で、最も忘れられている心のような気がしています。


いつかはラーメンだって・・・

この3つがあるからこそ、それを「和食」だと思えるように、僕は感じます。
そう考えると、ラーメンや洋食は、まだそういったフィルターにかかっていない
「時間の淘汰を経ていない文化」なのではないでしょうか。
ラーメンや洋食はすでに、それ自体胸を張って誇っていいほどの文化をもっていますが、
脈々と受け継がれてきた「土地と祭りと季節を美しく食べる料理」という文化には
まだ至っていないのじゃないかな、というのが僕の感想です。
もちろん、どちらが優れているとかいう問題ではなくて。

あと数十年したら、僕自身も、「ラーメンは和食だよ」と疑問を持たずにいえるのかもしれません。



「和食」を愛する心は日本を愛する心

上に挙げた3つ以外にも、「和食」の特徴はたくさんあります。
北の昆布と南のカツオが合わさる“だし”の文化や、味噌醤油に代表される発酵食品の利用。
魚の調理法と保存法、茶道から発達した器と料理の関係、箸を用いた所作などなど。

しかし上記のどれに目を向けてみても、
その土地に育つ旬の食材を美味しく食べるにはどうしたらいいのかという心づくしと
季節や自然の移り変わりを食事の中に感じさせる美意識が感じ取れます。

土地を愛し、季節を愛し、人を愛する。
そういう生活のなかに食という営みもまた組み込まれ、
主役になり脇役になり、人々の生活を彩ってきたのです。

和食はその「食」のみが独立して成立するものでなく、
四季を持つ自然や、国土のさまざまな風土と文化との密接な関係のなかで
受け継がれてきたのです。
フランス料理ももちろんフランスという国の文化を象徴していますが、
フランス料理の名匠と呼ばれる人たちには、あらゆる国籍のシェフがいます。
だけれど、日本人ではなく日本料理の名匠と呼ばれる人を僕は知りません

日本人の気質は国際社会の視点からすると「悪しき性質」なのだという
日本人自身からの指摘を聞くことが多くある気がします。
しかし、「和食」から読み解く日本人の心は、自然とともに生きる伸びやかさに溢れています。
そんなこと、普段は考えもしないし、恥ずかしいから意識もしなかったりしますが、
無形文化遺産登録を期に、再び思い出すことができたような気がします。




☆出演情報
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第4回まちなかの文化芸術イベント

シティ☆コンサート

〜Xmas オペラコンサート〜   日時 平成251214日(土) 午後130分開演 

   会場 甲府市役所本庁舎 1階 市民プラザ(ローソン横) 
   出演 廣橋英枝(ソプラノ)
      佐々木洋平(テノール)
      山野靖博(バス)
      森脇涼(ピアノ)
入場料 無料 
主催 甲府市教育委員会 
曲目 アヴェマリア グノー作曲

   アヴェマリア シューベルト作曲

   アヴェマリア カッチーニ作曲

   星は光りぬ

   クリスマスソング
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Cloud of Arts 主催


廣橋英枝&山野靖博 デュオリサイタル

日時 2014年2月23日(日) 14:00開演 (13:30開場 15:50終演予定) 
会場 山梨県立図書館2階 多目的ホール(全162席) 
チケット 全席自由3000円 
出演 廣橋英枝(ソプラノ)

   山野靖博(バス)

   林正浩(ピアノ) 
お問い合わせ 08050946204(山野)

       y.unyou.y@gmail.com(山野)
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