2013年8月28日水曜日

8/28 インターネットって以外とポピュラーじゃない


8/23にポストした記事(Cloud of Arts流 演奏会運営の仕方)が
24時間経たずに200PVを頂きました。ありがとうございます。
記事のテーマにもよりますが、本ブログの普段のPV数は、
1日で大体100PVなので、いつもより2倍の訪問をしていただいたということですね。

ちなみに、これまでの記事の中でPV数が多いのは

8/2 【映画感想】風立ちぬ http://p.tl/zCFJ
6/12 【演奏会のお知らせ】山野靖博ソロリサイタル http://p.tl/UPvH

のふたつ。

風立ちぬ評は、話題の映画をトピックにしたということで反響が大きかったです。
ソロリサイタルのご報告の記事は、応援して下さるみなさまや
山野はどんなことやってんねんという興味が1000を越えるPVに繋がったかと思います。

加えて、このふたつの記事は、たくさんの方にリツイートやシェアを
していただいたというのが、PV数をのばした大きな理由でしょう。
日頃の応援、心から感謝いたします。ありがとうございます。


8/23の記事は、普段僕が考えている

現行の高度経済成長期的なクラシック音楽業界運営方法から
ポストバブルの情報社会にふさわしい在り方を模索したい

ってことに、おおいに関係のある記事でした。

これまでにもそんなような記事は数種書いていて

僕が同世代の若者にクラシックコンサートをすすめる6つの理由〜幸せの効能〜 http://p.tl/tcLf
甲府駅北口が文化発信の核になる! http://p.tl/sMne
音楽家の想像力 〜0.はじめに〜 http://p.tl/ZdLD
舞台芸術のこれから http://p.tl/4bKQ
僕が若い人にオペラを見てもらいたい理由 http://p.tl/su00
あたりがそれです。


で、僕の構想としては柱は2つで

・地域密着化の推進

・ウェブサービスの活用

が重要ではないかなと考えています。


今日は、その2つ目の柱、「ウェブサービスの活用」について書いてみます。





大学在学中からCloud of Arts(とはなにかについてはここを参照)の仲間と
「SNSやブログを活用して宣伝集客をしたいよね」と話してました。 

だって、画期的なサービスじゃないですか。
僕の家にPCが来たのは、僕が小学校中学年の頃で、
その当時はまだ自宅にPCがあるという家庭は少なくて、
統計的に言ってもインターネットサービスの一般普及率は30%ぐらいでした。
それがいまやPCの一般化は言わずもがな
 iモードの登場以降の携帯端末の進化は著しく、スマートフォンの普及がそれに拍車をかけ、
誰もが家でも外出先でもインターネットを利用できるような状況になりました。

そのなかで爆発的にユーザー数を増やしてきたのが、

Google+
mixi
Twitter
Facebook
Pixiv
Youtube

といったSNS(ソーシャルネットワークサービス)です。
こういう利用者数の多いサービスを活用したり、ブログで記事を書いたりすることで、
演奏会や普段の演奏活動の宣伝集客を促進できないかと考えました。

もちろんこういう発想を持ったのはなにも僕らだけではなくて、
先輩や友人も多いにこういったネットサービスを活用する様子が、
どんどん見受けられました。






そうやってネットを使った周知方法を、大小様々なコンサートやイベントに合わせて
1年とちょっとやってきて思うことがあります。

まず、結論です。


現段階ではネットを利用した宣伝や集客は
正直言って非効率的


あまり、効果的ではないと、僕自身「現時点では」結論づけています。


理由は2つ

・思ったよりみんなパソコンやスマートフォンを使うことに抵抗感を持っている
・コンバーション率が低い

ひとつずつ説明しますね。






●思ったよりみんなパソコンやスマートフォンを使うことに抵抗感を持っている

ポップカルチャー評論家の宇野常寛氏が中心となって発行している
「PLANETS」という雑誌の8号に、こんな指摘がありました。

こうした若手研究者たちが台頭してきた背景には、インターネットの普及が代表するここ20年弱の情報化の進行が決定的に社会を変えている、変えていくという確信と、それに基づく世界観のようなものが、日本の文化空間の一部に確実に育ってきていることがあるのは間違いない。これはまだ生まれたばかりで、非常に弱く、広く社会に認知されているものとはとてもじゃないけれど言えない。しかし、これからの社会はこの潮流を育て延ばしていくこと抜きには考えられない。
(PLANETS Vol.8 「情報社会論と<夜の世界>———「もうひとつの日本」から考える」より引用)

情報化社会から「情報社会」に移行した現代、さまざまな社会システムが機能不全を起し
「OSのアップデート」が必要だと警鐘を鳴らす評論家が多くあらわれてきています。
対策として、ネットの辺境地帯で発達してきた特殊なエネルギーを、
社会一般の営みにも適応していくことが活路だと言う主張が
この評論雑誌を貫くテーゼであります。

僕自身、この主張に強く賛同しますし、同じようなことを思っているからこそ、
「クラシックの今後の展望を考えたら、今まで通りじゃだめだよな」みたいなことを
思っている訳ですが。

そんなときに、上で引用した文章の指摘は、まさに僕の肌感覚と合致しました。
これ(さまざまなウェブサービスやそこで起きている価値観の転換)はまだ生まれたばかりで、非常に弱く、広く社会に認知されているものとはとてもじゃないけれど言えない
のです。けれど、
それ(さまざまなウェブサービスやそこで起きている価値観の転換)に基づく世界観のようなものが、日本の文化空間の一部に確実に育ってきていることがあるのは間違いない
のであるし
これからの社会はこの潮流を育て延ばしていくこと抜きには考えられない。
のです。


インターネットサービス、特にSNSは「コミュニケーションツール」として
広く利用されています。
僕の友人たちはみんな、mixi か Facebook か Twitter のどれかは利用しているし、
LINEの普及率といったらほとんど90%を越えているのじゃないかというような感じです。

ただ、そこで行われているやり取りの多くは、
現実社会でも面識のある知り合い同士のコミュニティをそのままトレースした輪の中で
非常にローカル的なルールや文脈に則って交わされるコミニュケーションです。

そこには(現段階で)、井戸端会議や雑談以上のエネルギーを持つやりとりはないし、
ぐいぐいと外へ広がっていくようなムーヴメントも、見かけません。

もちろん、井戸端会議や飲み会の雑談から思いもよらないアイディアがうまれることはあって、
それに類似した例は現段階でのネットでの交流のなかでも見て取れます。

けれど、誰かが投げかけたプロジェクトに友人というスタンスを越えてコミットするとか、
クラウドファンディングを積極的に利用してなにかを応援するとか、
そういう、ただのコミニュケーション以上の「より複雑な」ネットの活用となると、
大方の人が尻込みをするという図式がよく見られます。

尻込みをする、というか、そういうネットの使い方は「想像もしない」
「自分には関係ない」と思っているようなところが多いのかもしれない。

で、これはそういう利用者が悪いのかというとそうではなくて、
ひとえに「これ(さまざまなウェブサービスやそこで起きている価値観の転換)は
まだ生まれたばかりで、非常に弱く、広く社会に認知されているものとは
とてもじゃないけれど言えない」のが原因なのです。

だから、ウェブサービスの存在やその利用方法、どれだけ便利で革新的で、
社会にコミットするための最良の方法であるかが広く認知され
存在感を強くし、あって当然のようにインフラ的に普及さえすれば、
ウェブサービスを利用したクラシックコンサートの宣伝集客も
より進んでいくのだと思います。


その方法として、いま現在日本中数多いる演奏家なり企画者が、
それぞれに行っているプロモーション活動を統括するようなプラットフォーム
インターネット上に構築され、さらにそれの延長した場として、
実社会の活動なりあるいはそういうコンセプトを持った劇場なりが出現すれば
現状はかなり違ってくるのだろうと思います。

一番いいのは、そういったサービスを僕が設計してリリースして、
僕の友人たちを中心にいろんな人巻き込んじゃうのがいいんでしょうけど、
如何せんプログラミングに疎いから・・・。
なので、そういうサービスを面白いなと思ってくれるプログラマーは
常に募集中です。






コンバーション率が低い

これは上のことにも繋がるんですけど、
つまり、ネットサービスを利用する時の動機が

・友達とおしゃべりしようー
・面白い話とかないかなー

なので、そもそも

・コンサート行きたいけどなんか手頃なのないかな

という発想で演奏家のFacebookなりブログなりを見る人が
相当少ないということに起因しているのだと思います。

Facebookなんかは公式ページを作らないかぎりは、基本的に
実社会でも知り合いであるという前提が必要ですし、
ブログは「その人を知っている」から読むのであって、
「私が行くためにいいコンサートを探す」からアクセスするのではないのです。

購買意欲のない市場にいくら広告を投下したところで、
転換率があがるはずはありませんね。簡単な話です。

演奏会を探す時には大概、近所の大きなホールのチラシ置き場を見るとか、
前回いった演奏会でもらったチラシの束を眺めてみるとか、
「紙媒体での情報入手」が現在のメジャーなやり方なのだと思います。
というか、現在クラシックコンサートに積極的に訪れる顧客層にポピュラー
情報媒体が、チラシや新聞、有料無料の各種情報誌を含む紙媒体なのだ
ということでしょう。

やはりこの時点で、ウェブサービスを利用した宣伝集客という方法との乖離がみられます。



どうにかして、「ネットサービスは有効だが一般的じゃない」という潮流から
どんな年代でもどんな地域の方でもガシガシとネットサービスを利用して、
さまざまな文化活動や商業活動に「半能動的に」コミットしていくような社会に
なっていかないもんかなーと、ここしばらく考えています。
僕だけじゃなくて、結構多くの方が考えていることでもありますよね。
色んな方法論は、また別の機会に書いてみます。


yy

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