2012年9月10日月曜日

9/10 市井の歌い手ペンを持つ

こんばんは。山野靖博です。

昨日のエントリーを読んでくださった方、シェアしてくださった方、
いいね!してくださった方、本当にありがとうございます。
WEBの辺境で書いているブログしてはたくさんの方にご覧頂きましたようで
心から嬉しく思っております。



ブログというのは興味深いツールですよね。
従来なら市井の歌い手は、歌によって“何か”を皆さんに伝えていればいいわけですが、
せっかく面白いツールが出てきた現代ですから、
「歌手の表現手段は歌だけ」なんて固いことは言わず
より近い距離で、出来るだけ短い間隔で、皆さんとコミュニケートしたいなと
僕は考えているのです。



さて、もの書く音楽家というのもなかなかおりまして、
最もメジャーなのは指揮者の岩城宏之先生ではないでしょうか。

岩城先生の書く文章はとても優しくチャーミングでウィットにあふれ、
面白おかしいエピソード満載。
けれどふとした瞬間に、先生自身が感じてらっしゃったであろう
音楽界に潜む理不尽さや嘆かわしい現象を、ビシリと指摘なさいます。
高校時代、レッスンのために東京へ通う電車の座席で、
音楽界への憧れを持ちながら、何度も何度も岩城先生の本を読み直したものです。

作曲家の団伊玖磨先生もたくさんのエッセイがあります。
 
雑誌「アサヒグラフ」上で実に56年(!)に渡って連載されたエッセイ。
上の3巻はそれをテーマごとに再編纂したもの。
僕は単行本シリーズの第1巻「パイプのけむり」を読みましたが、
確か高田馬場の古本屋で見つけたもの。今は甲府の実家の本棚にあります。
とても落ち着きのある文体で、ありとあらゆるテーマについてを、
言葉を連ねていくのが楽しくて仕方がないといった感じに綴っておられます。


バス歌手の岡村喬生先生の著書は思い出深いです。

声楽での大学受験を決めたあとに、図書館から母が借りてきてくれた本でした。
当時は岡村先生のことをよく存じ上げるわけもなく、「へぇ」てなもんで
軽快な文体とヨーロッパで奮闘する岡村先生のストーリーを読んでおりました。
この本で「世にも美しいバスの為のアリアがあるんだ」と岡村先生が紹介する曲があります。
イタリアの偉大な作曲家ヴェルディの歌劇「ドン・カルロ」の中の1曲。
スペイン国王フィリッポⅡ世によって歌われる  "Ella giammai m'amo"
「ひとり寂しく眠ろう」と訳されたりしますが。
この曲との出会いがやはり衝撃的でした。バスのアリアでこんなに素敵なものがあるのか、と。
なにこれこの曲僕も歌いたい。
オペラがお好きな方ならご存知の方も多いでしょう。バスアリア名曲中の名曲です。
あの日から今日まで、フィリッポが歌いたいという気持ちで練習を続けてきたといっても
全く過言ではないほどに、僕の中では存在感の大きな曲です。
優美でロマンティックで人生の憂いに満ちた偉大なアリア。
この本を読まずとも必ずや出会っていたでしょうが、
この本での岡本先生の絶賛ぶりに興味を持ち、自分でCDを買ってきて、
ラジカセを聞いたという体験が、このアリアに対する思い入れを
より特別なものにしてくれたことは間違いありません。

ともあれ、先人は大きく、先生方のようにおおらかで含蓄のある文章は僕には書けないですが、
僕は僕なりに、皆さんとのコミュニケーション手段として、
このブログをめいっぱい活用していきたいと思います!
ぜひとも今後もおつきあいくださいね^^

yy

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