2014年3月9日日曜日

僕たちの行動を決定づける力を持っている空間というものについて、の話







最近、星を見ていないなーと思います。


最後に星を見上げたのはいつだったか。
最後に見ようと思って星を見上げたのは、ずいぶん前のような気がします。



一日のうちで、やはり夜の時間は特別で、不思議な力があるじゃないですか。
家でゆっくり過ごすにしても、外に出て騒ぐにしても、
昼間だったら臆してしまうようなこともできたり。
一日のなかで非常にプライベートな色味を帯びた時間が夜だと思うのです。
自分になれる時間、というか。


そんな性質を持った夜という時間を、星を見上げる余裕もなく、
あるいは月を愛でる暇もなく過ごしている日常というのは、
やはりどこか無理が生じている証拠のような気がするのです。





☆☆☆




昨日今日明日と、たびたびこのブログにも登場する廣橋英枝さんと佐々木洋平くんといっしょにいます。
彼らが継続的に行っているデュオコンサートが、今回で第7回をむかえ
8日9日と2日続きで開催されているのです。
僕はそのスタッフさん。

以前までは100席のコンサートホールで行っていましたが、
第7回は秋葉原・末広町駅近の「AKIHABARA KADAN」さまというビルの8階サロンスペースをお借りしています。

1日16名限定の贅沢なコンサートです。
なにせ、空間がとても親密な距離感なので。
16名分椅子をだしたら目一杯なのです。
その分、演奏者の表情も、呼吸も、鼓動も、すべてお客様に手渡しでお届けできるような
そんな空間です。
コンサートホールだったらなかなか演出できないですよね、そういうの。





☆☆☆





「器楽奏者は楽器の取り替えができるけれど、声楽家は自分自身が楽器だから」
なんてフレーズを時たま耳にします。
もちろん、それは紛れもない事実。


そんななかでこのところ感じているのは
「空間というのもひとつの楽器だな」ということ。



どこで歌うか、いつ歌うか、誰が聴いてくれているのかで、
演奏者のアウトプットは確実に変化するのです。
楽器の状態が演奏のクオリティを左右するのと同じかそれ以上に、
演奏する環境の要因もパフォーマンスに対して大きく影響を与えます。



もしかしたら、照明ひとつ、天候ひとつ、天井の高さひとつが、
世紀の名演を生み出す力を持っているのかもしれないのです。
というか、確実に持っている。


僕たち演奏家は、空間について、もっと真剣に考えなければいけませんね。



いいホールに出会ったら、相性のいい空間に出会ったら、何度でもそこに立つことです。
ふるさとのような空間が見つかることが、演奏者にとっての何者にも代え難い幸せなのかもしれません。
ひとつの考え方としてね。





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