昨日、誰に聞いてもらうのかをいつも意識して演奏会の企画をしたいな
というエントリーを書きました。
この「誰に聞いてもらうのか」というのは大事なポイントで、
いつも意識したいことなんですけど、その先に
誰に聞いてもらうのかによってマーケットインに寄せるか否かのバランスをとる
っていうポイントがあるとおもいます。
マーケットインとは、僕は最近覚えた言葉なんですけど
需要者である消費者・購買者の欲している製品やサービスを開発・生産・販売すること
を指すようです。
その対義語はプロダクトアウトで、これは提供側主導でアウトプットしていく流れを指します。
どちらにしても、市場のニーズを満たすためにアウトプットを設計していきますが
マーケットインの場合はすでに顕在化されたニーズを満たす製品を作る、
プロダクトアウトの場合はまだ潜在化しているニーズを満たす製品を作る、
といった違いがあります。
例えば僕が山梨でコンサートをするときに、
「どんな曲が聴きたいですか?」とお客様方にヒアリングすることがあります。
そうすると、「千の風になって」とか「闘牛士の歌」とか
「具体的にはわからないけど知っている曲が聴きたい」などといった意見をいただくことが多いです。
これに合わせて、プログラムに「千の風になって」や「闘牛士の歌」を組み込み
チラシにも演奏予定曲として掲載すると、お客様は
「あ!この曲知ってる!」と、コンサートに対して安心感を持って会場へ来てくださることになります。
あるいは僕が、そうはいってもそれ以外にも素晴らしい曲はたくさんあるのだから
それらを是非とも紹介したいんだ!と意気込んで、
あまりメジャーではない名曲を揃えたプログラムにしてそれをチラシで謳うと
「どんな曲かわからないけど、山野だから聴きにいってみよう」とか
「どんな曲かわからないし難しそうだから今回はやめよう」とか
それぞれの判断をしてくださるわけですね。
雑な例で申し訳ないですが、前者がマーケットイン、後者がプロダクトアウト、
それぞれの考え方を演奏会のプログラミングに落とし込んだ場合です。
で、僕としては、必ずマーケットインじゃなければいけない!とも思わないし、
プロダクトアウトこそ意義があるんだー!とかも思わないです。
要はバランスですよね。
ただこの辺りの選択に際して、1点重要なポイントがあると思うのです。
それは、選ぶ(or 選べる)マーケットの規模や種類によって選択できる幅は増減するということ。
東京の一流のコンサートホールや管弦楽団の自主企画と、
山梨の個人演奏家の自主企画では、
そもそも対象としているマーケットが違いますね。
規模もそうだし質もそうだし。(どちらの質が優れているとかいう問題ではない)
そうすると前者の定期公演だったらかなりプロダクトアウトな、尖ったプログラミングも歓迎されるでしょうし、
後者の場合は聴きに来てくださるお客様のすでにあるニーズにある程度沿った選曲がいいはずです。
あるいは、東京とそれぞれの海外都市でも状況は変わってくるでしょうし、
シーズン公演なのか音楽祭のような祝典の場なのかによっても
マーケットインとプロダクトアウトのバランスは変わってくるはずです。
つまり、まず第一に大事なことは
お客さんのニーズをちゃんと把握することでも、玄人好みのプログラミングをすることでもなく、
自分が勝負しているマーケットはどんな規模と質なのかをしっかり理解すること
だと思うのです。
で、そのマーケットがどんなところなのかを理解したら、
その都度、そのマーケットに合わせて、自分のアウトプットの種類を変化させていったらいいんだと思います。
こういう考え方が大事だって思えるようになったのは、
ちきりんさんの新刊を読んだからです。
めっちゃいい本なのでみなさん読みましょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿