関東は梅雨明けとのこと。
あーまたこうして1年が過ぎていくのだなぁと思いながら晴天を見上げました。
梅雨からははなれますが、雨の記憶としていちばん古いのは小学校に上がる前、
保育園に通っていた頃の家の記憶でしょうか。
オンボロの長屋に暮らしていましたが、
強く雨の降る日は屋根を叩く雨音がやけに大きく響いたような気がします。
家の周りには田んぼやら畑やらあったので、
外に出るとたくさんカエルに出くわしました。
もしかしたら、いまは触るのを少し躊躇してしまうけれど当時はぜんぜん平気で、
両生類のしっとりと吸い付くような柔らかい緑の皮膚と
その下にあるコリコリとした骨の感触をなんとなく覚えています。
目が可愛いんですよね。あと、お腹。
カエルというと思い出すのは井伏鱒二の詩。
勘三さん 勘三さん
畦道で一ぷくする勘三さん
ついでに煙管を掃除した
それから蛙をつかまえて
煙管のやにをば丸薬にひねり
蛙の口に押しこんだ
迷惑したのは蛙である
田圃の水にとびこんだが
目だまを白黒させた末に
おのれの胃の腑を吐きだした
その裏返しになった胃袋を
田圃の水で洗いだした
この洗濯がまた一苦労である
その手つきはあどけない
先ず胃袋を両手に受け
揉むが如くに拝むが如く
おのれの胃の腑を洗うのだ
洗い終ると呑みこむのだ
< 蛙 / 井伏鱒二 >
蛙って、ほんとに胃袋洗うらしいですね。
トリビアの泉でやってて驚きました。
本当に洗うのか!!!!!と。
ちなみに、井伏鱒二では、山椒魚にも蛙が登場しますね。
成長しすぎて外へ出られない山椒魚のいる岩屋へ飛び込んでしまった蛙。
山椒魚の意地悪で出口をふさがれて、岩屋の中でふたり取り残されて、
最後の最後には力つきて動けないまま、
「今でもべつにお前のことをおこってはいないんだ」と呟く蛙。
なんとなく、長屋暮らしの原風景からなのか
雨には蛙の気分がします。
0 件のコメント:
コメントを投稿