2014年1月18日土曜日

【映画感想】THE BLING RING



THE BLING RING ブリングリング
監督 ソフィア・コッポラ
脚本 ソフィア・コッポラ
出演 イズラエル・ブルサード
   ケイティ・チャン
   エマ・ワトソン
   クレア・ジュリアン
   タイッサ・ファーミガ





正直いって、ソフィア・コッポラの作品はひとつも見たことなかったです。
だから、彼女の脚本の機微とか、映画の作り方とか、予備知識はゼロ。
まっさらな状態で感じたのは
「セレブな遊び方の描写が荒廃的だな」 
「(英語の歌詞理解しきれないけど)劇中の挿入歌がきっと映画の言いたいことを代弁しているんだろうな」 
「結論も到着点もない若さゆえの暴力を描くのがうまいな」
ということ。


映画に興味を持ったのは、エマ・ワトソンが出演していると知ったから。
色んな雑誌でも彼女とセットでプロモーションが展開されていた様子。
蓋を開けてみれば、エマよりも、主要キャストで『黒一点』の
マーク役イズラエル・ブルサードの印象の方が僕には残りました。


本作は実話に基づいたフィクション。
題材はロサンゼルスで実際に起こった、
少年少女によるセレブをターゲットにした連続窃盗事件。
被害総額はなんと3億円。わお。






盗みを題材にした映画って、大体クールな窃盗団が主人公だったり、
泥臭い主人公がのっぴきならない事情で否応なく犯罪に手を染めていったり
そういう描き方が多かった気がします。

本作の主人公たちの盗みの手口はなんとも幼稚だけど合理的。
セレブのスケジュールをネットで見て(パリスがマイアミでパーティだって!)
セレブの住所をネットで調べて、Googleストリートビューで現場を下見。
敷地に侵入してみたら窓が開いてるわ警報はならないわで、
あとは気軽なショッピング気分で高級ブランド品やキャッシュを自分のカバンに詰めていく。

そこには大義名分もなければ、従来のような「人生や生死に関わる」のっぴきならない事情もない。


やってみたらたまたま上手くいっちゃって、それに味をしめてまたやっちゃう。
セレブだしお金あるしバレてないしいいじゃん。みたいな。
盗んだものだって堂々と自分の身につけてクラブで遊び回って、
扇のような盗んだキャッシュと一緒にiPhoneで写真を撮ってフェイスブックにあげちゃう。



コッポラの脚本や映像では、そういう行動を非難も弁護もせずに、
ただ淡々と起こった事実を映していくような捉え方をしている。
そこには教訓もないし、救済もないし、社会に対する警鐘もない。
だから、見終わってから、「それで?この映画の主張は?」とか思っちゃう。



窃盗を繰り返す彼女たちの日常や盗みの風景の描写の合間に
ちょっとずつインタビューの場面がはさまれるのだけど、
その辺にぼんやりとだけど問題提起のポイントがあったと思う。


マークいわく
「社会的に悪いことをしたのに、フェイスブックにファンページができたりした。」

ニッキーいわく
「この事件はわたしがよりスピリチュアルな人間になるための学びの場だった。
 事件の真相と本当のわたしを知りたければ、ニッキー・フォーエヴァー.COMへ」


この2人の劇中のセリフを、ほとんど違和感無く僕自身が受け止めていたというのが、
この映画の指摘するところなのかもしれないなと思いました。
だから、ぞくっとした。そんな自分に恐怖を感じた。







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