東京において文化と土地が結びつく、という現象はすでに消滅したという指摘が
ゼロ年代の評論家による論調です。
昔は浅草、銀座、新宿と、最先端のスポットが移動してきて
渋谷代官山、原宿、中央線沿い(中野・高円寺・阿佐ヶ谷)、下北沢と
なんとなーくその時代のカルチャーを作り上げたり興味があったりする人が
特定の駅に集まるという傾向が見えました。
現在では、どれもが分散をしていて、どこかひとつが強い力を持っているわけではないし、
たとえば秋葉原という街は文化の発信基地として機能しているように見えるかもしれないが
インターネット文化と密接に関連しているので、以前のような「土地固有の文化」という
文脈では語りきれないのではないか、というのが最近の指摘です。
評論家の宇野常寛さんはそれを踏まえた上で
もしこれから先、土地と文化が強く結びつくような事例が出現するとすればというようなことを言っています。(かなり僕の意訳がはいっているかもしれない)
鉄道という交通網から切り離され、車や自転車といったより自由な移動方法によって、
丸の内や東京の臨海部がその役割を担っていくだろう
それに加えて僕としては、「青山」に新しい匂いを感じています。
◆青山の無名の通りに世界の有名ブランドが集結しはじめている
このまとめ記事をご覧下さい。
NAVER まとめ
無名の通りに出店ラッシュ!今、青山の裏通りがアツイ
http://p.tl/cS85
イッセイミヤケ、デヴィットソン、ルブタン、ディプティック、マッキントッシュ……
こう並ぶとそのスゴさが分かります。
銀座でも丸の内でも渋谷の新しいデパートでもなく、
青山に路面店として、世界で評価されているブランドが集結している。
この動きは注目に値します。
ハイブランドを闇雲に信仰するわけではありませんが、
ハイブランドだからといって、それ故に毛嫌いするような価値観も僕は持っていません。
世界中のハイエンドなユーザーに対してマーケティングされた商品は、
そのブランディングの仕方といい、商品のクオリティといい、
時間とコストをかけて作り上げられただけの価値と輝きを持っています。
僕は表現者の端くれとして、その点については真摯に学ばないとなと考えています。
◆日本の生き残る道は地場産業とハイブランドにある
日本が現在世界から注目されているところとはどこでしょう。
それは、家電でもなければ、トヨタでもなく、円の力でもありません。
ズバリ、市場規模と職人の仕事です。
日本の経済成長が下火になってきたとはいえ、世界にとっては日本はまだまだ
魅力的で信頼のあるマーケットです。
その点は胸を張っていい。
それと、和食のクロースアップや世界レベルで勝負をする中小企業の活躍のように
日本人の気質と文化によって育まれてきた「職人的な技」の評価は
そうそうなくなるものではありません。
僕たち日本人が「単なるつまらない地場産業」だと認識しているものも、
パッケージを変えてみるとあっという間に世界に売れるようになるものは少なくないはずです。
特にヨーロッパの生活環境に存在している、
木工、鋳金、陶芸、織物といった工芸品は、その技術力と共に
今後の日本の強い輸出品目になっていく能力を秘めています。
日本の市場の象徴としての青山が世界的に有名になり機能していくこと。
これがまずひとつ、僕たちが目指すべきステップです。
実際現在の青山にも、平日の昼過ぎだというのにちらほらと外国人観光客の姿を見ることができます。
そして、ハイブランドが集まる街としてクロースアップされる前に、
ブラッシュアップされた日本中の地場産業を、青山に集結させるのです。
世界にとってのハイブランドショップ街としての青山に、
日本の伝統文化の随を集めた商店街という顔も持たせる。
これ以上の戦略があるでしょうか。
◆ネットショップでもモノは買えるから路面店では体験を売り物にする
とはいえ、いいものはいくらでもネットで買える時代なので
ただお店が集まってるだけ、という街作りをしてもダメでしょうね。
モノを買うことが一次的な目的となっている「中間富裕層」をターゲットにするのではなく、
モノなんていくらでも帰るけどお金では手に入らないエキサイティングな体験を欲している「超ハイエンドユーザー」を想定するのがいいと思います。
それこそ青山に世界中見渡してもどこにもないくらい洗練されたカジノでも作っちゃえばいい。
モノと音楽と食とアートとギャンブル。
この中のどれもが高いクオリティで提供できればスゴいことになりそうですよね。
そういうことを国家戦略としてやってほしいなあ。税金ばっかり上げてないで。
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